梅雨の音と、もうひとつのコップ
2025年06月15日
6月。梅雨に入ってからというもの、雨は「しとしと」なんて優しいものではなくなってきた。
最近の雨は、降るとなれば短時間で一気に叩きつけるような勢いで、音までもが騒がしい。
夜が明けきらない早朝。窓を少しだけ開けると、まだ雨は止んでいるのに、遠くの川の音だけがゴーゴーと聞こえてくる。
静けさの中で、流れる水の音だけがやけに際立っていて、それがなんとも心地いい。
湿気を含んだ空気を吸いながら、ふと、小さいころに家族で行った川沿いのキャンプ場を思い出す。
朝の冷たい空気。テントの外から聞こえる川の音。起き抜けに焚き火の煙の匂いが漂っていたあの感じ。
なんてことのない思い出が、こうして湿気と一緒にふいに蘇るのだから、雨の日も悪くないと思える。
そんな静かな朝。我が家では、もうひとつの“異音”……いや、“怪奇現象”が起きている。
それは、「使われたコップが、家族の人数よりひとつ多い」という謎。
3人家族なのに、なぜか4つ。
しかも、時間をずらして出てくるように、ぽつぽつと流しに現れる。
1年前に食洗機が壊れた。
それまでは“気づいた人が入れておけば終わる”作業だった食器洗いも、今では家事の中でも洗濯、掃除、ご飯作り、コップ洗いのようにトップにのぼってきている
でも、私は嫌いじゃない。
静かな朝、湿気の中、川の音を聞きながら、流しに並んだ“家族の人数+1”のコップを一つずつ洗う時間は、やる気スイッチをいれる作業。
水の音と、遠くの川の音とが重なって、頭の中がからっぽになる感覚がある。
そして、人数分+1の1が誰が使っているかは、だいたい見当はついている。