制服のままで くの字

次男が帰宅して、ランドセルならぬリュックを投げ出すより先に、ゲーム機のスイッチが入る。
あぁ、今日も一目散に現実逃避か。でも、今日は見逃しておく。

最近、学校の集会で挨拶をしたと聞いたし、部活でもそれなりに頑張っているらしい。がんばった日は、なにかでバランスを取るように、好きなことをさせてあげるくらいの余裕は持ちたい。

そう思っていたのに、ご飯ができても、ダイニングに来ない。
これは話が違う。

呼ばれる前に集合、これが我が家のルールだったはず。でも、洗濯物を取り込むついでに部屋をのぞくと、制服のまま、くの字に折れて寝ていた。

ゲームをしていたはずが、寝てる。しかも、くの字。なんとも絶妙な寝姿に、軽くあきれ、少しだけ笑ってしまう。

制服のままゲーム。そして寝落ち。
これは本来なら注意すべき状況なのだろうけど、思春期真っただ中の次男には、正論が通じないことも多い。
下手に声をかけて機嫌を損ねられると、その後がめんどくさい。私にその体力があるかといえば、ない。

なので、今日もこちらが折れる。お風呂、私が先に掃除して、湯もはってしまおう。

「先入っときー」と声をかけると、くの字のままもぞもぞ動き、いつの間にか風呂場へ向かっていた。

しばらくして、リビングからドタドタと足音。
「なあなあ、聞いて!」と、風呂上がりの濡れ髪のままテンション高めに話しかけてくる。
その顔はさっきまで寝ていた人間とは思えないほど晴れやかで、目がキラキラしている。

天井に手が届くか大きくなった体でドンドン飛び跳ねながら、ひとしきり届くか届かないなど話したあと、すっかり元気になっていた。

あぁ、これが次男だ。気分屋で、わかりにくくて、でもやっぱりおもしろい。

今回の思春期を発動させなかったのは、私の作戦勝ちとする。

制服のまま寝落ちする君を、今日もまた私は黙って見守る。
めんどくさい日もあるけれど、それすらきっと、あとから思い出になるんだろうな。

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